毎日の食卓に欠かせない食材トマト
鮮やかな赤で料理の見栄えを良くしてくれて、栄養満点で用途も広い…というわけで、「トマトは常備食!」という方も多いのではないでしょうか。
そんな身近な野菜トマトは、どんな由来で私たちの食卓に上るようになったのでしょうか?
トマトの歴史について調べてみました!
トマトの歴史について
人類の食生活と切っても切れない関係にある農作物。
その栽培史の中でトマトが登場してきたのは案外最近のことでした。
トマトの世界史
まずは、世界の中のトマトの歴史を年表で見てみましょう。
西暦8世紀 | 南米のアンデス地方でインカ人、アステカ人が栽培開始 |
西暦16世紀 | 南米に到達したスペイン人がトマトをヨーロッパに持ち帰る |
西暦18世紀 | イタリアにてトマトが食用として一般化する ポルトガル、スペインに広がる |
西暦19世紀 | 欧米にて野菜として広く使われるようになる |
当初トマトは、「観賞用」植物とみなされていました。というのも、トマトの外見がベラドンナという有毒植物に似ていたからです。
最初にトマトを食べてみようと思い立ったのはイタリア人!
当初は一部の貧困層の間だけでしたが、18世紀に食用が一般化しました。
ほんの3世紀ほど前のことなのですね。
現在では、トマトと言えば生食と並んでソースとして使用されることが非常に多いですが、トマトソースが作られるようになったのはフランスや南イタリアでのことでした。
トマトが外見のおかげで毒草と考えられていたとは驚きですね。
最初に食べてみようと考えたイタリアの人は、随分勇気があったのだなと思います(^^)
トマトの日本史
一方、日本でトマトがたどった歴史は以下の通りです。
西暦17世紀 | 寛文年間(1661-1673)に日本に持ち込まれる |
1870年代 | 明治初期、野菜として試みに栽培開始 大正にかけて栽培拡大 |
1945年以降 | 第二次世界大戦後、トマトの消費量が劇的に増加 |
欧米同様、日本でも当初は観賞用とされていたトマト。
明治以降、野菜として栽培を開始するものの、トマト特有の色や香りへの抵抗からあまり普及はしなかったとか…。
第二次世界大戦後、日本でもサラダとして生野菜を食べる習慣が生まれ、その過程でトマトも食べられるようになっていきました。
トマトの品種改良の歴史
トマトが現在のように大量に消費されるようになる過程には、品種改良の努力の歴史がありました。
実はトマトは甘くなかった
日本でも食用に供されるようになったトマト。
しかし、当初は、今のような甘みはありませんでした。それは、トマトの実が十分に熟する前に収穫・出荷していたためです。
その後、トマトの品種改良に成功し、完熟後の出荷が可能になりました。
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トマトの品種改良は、既存の品種2種類をかけあわせることから始まります。
しかし、かけあわせて生まれた次の世代で、いきなり優良な品質のトマトが採れるわけではありません。
生まれた新種トマトから出来の良い苗をさらに選び、自家受粉を数世代繰り返します。
そうしてようやく、選ばれたトマトの優良な性質が安定してきます。
ここまでに10年はかかるそうです。
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品質改良によって収穫・出荷のタイミングまで変えられるようになるとは、すごいことですね。
もしこの改良がなかったら、今も日本ではトマトがこれほど普及していなかったかもしれません。
トマトの品種の数は?
トマトと一口に言っても、他の作物同様いろいろな品種があります。いったいどのくらいの品種があるのでしょうか?
農林水産省の品種登録数が一つの指標になります。
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221種類。(2013年4月時点)
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その後も続々と新種が登録されています。
10年単位で新規登録数の推移を見てみると、多いときには80種近く、少ない時でも40種類程度は登録されています。
品種登録されていないものも含めると、膨大な数に上りそうですね。
トマトのブランドが多い2つの理由
このように、トマトには膨大な数の品種がありますが、ブランド品とされる高級トマトも多く流通しています。
光樹【こうじゅ】とまと とは…https://t.co/oBVIAY9rwP
佐賀県川副町で作られている大玉トマト
光樹とまと部会の幾重もの選果規準をクリアしたトマトだけを光樹とまとブランドとして選定— mako_0917 (@iphonexcom) May 7, 2018
この背景には2つの事情があります。
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- 購入頻度・数量が高い
- インターネットの普及
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それでは、1つずつ詳しく見てみましょう。
購入頻度・数量が高い
1つには、消費者が家計の中で野菜に費やす費用のうち、トマトに払う金額が高い、つまり、それだけ頻繁にたくさん購入されているということです。
総務省統計局が発表している「家計調査」(平成27年(2015年)~29年(2017年)平均)のデータをご覧ください。
大根と比べると、金額にして約4倍支払われています。
品目 | 購入金額 | 数量 |
---|---|---|
トマト | 8,003 | 12,033 |
玉ねぎ | 3,385 | 16,798 |
キャベツ | 3,064 | 18,117 |
じゃがいも | 2,777 | 9,752 |
大根 | 1,878 | 13,098 |
参考URL: 家計調査 品目別ランキング 生鮮野菜ー総務庁統計局
購入量が多いだけで単価が安ければ、購入金額が上がることはありません。
トマトの場合は、ブランド化が進んで高単価での取引が増えているという事情があります。
かつては、トマトも安値で取引される作物でしたが、近年の健康志向の影響で品質の高いトマトを求める消費者が増加し、信頼のあるブランドトマトが売れるようになってきました。
インターネットの普及
もう一つ、ブランドトマトの流通拡大に大きな役を買っているのは、インターネットの普及です。
ブランドトマトは、生産が容易ではない・産地限定品が多い等の事情により生産量は少なく、市場への安定供給は困難です。
その影響で卸や市場を介さず消費者に直接販売するスタイルが浸透し、そこにインターネットを介しての所謂「お取り寄せ」による購入が拍車をかけました。
試しにアマゾンの「野菜」カテゴリーで「トマト」と入力して検索すると、絞り込み欄のブランドが70種類以上も出てきます。また、「産地直送」で絞り込むと44件ヒットします。
インターネットを通じて、生産者とブランドを求める消費者が直接つながっている構図が見えてきますね!
まとめ
いかがでしたか?今回は「トマトの歴史」について調べてみました。
まとめると…
[st-midasibox-intitle title=”まとめ” fontawesome=”” bordercolor=”” color=”” bgcolor=”” borderwidth=”” borderradius=”” titleweight=”bold”]
- トマトは南米からヨーロッパを経由して、17世紀に日本に渡ってきた。
- 当初は毒草と考えられており、観賞用の植物に過ぎなかった。
- 食用されるようになったのは、ここ300年ほどの間に過ぎない。
- 生産者の品質改良の努力のおかげで、広く普及するようになった。 [/st-midasibox-intitle]
人気の野菜ゆえに、トマトのブランドが多いということもわかりました。
私が生まれて初めてトマトを口にしたのがいつだったか、覚えていません。
日本に入ってきた当初のトマトとは違っていただろうと思いますが、もしかすると私もトマトの味やにおいに拒否反応を示していたのかもしれません。
最初は毒草とみなされていたというトマト!
過去と栄光の現在、なかなかドラマチックな背景を持つ野菜だったんですね。
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