日本ではよく見かけ、冬になると温まる美味しい料理に使われる「かぼちゃ」。
しかし、このかぼちゃという名前が示すものは、日本だけでなく世界中で見る姿や呼び方、使われ方が驚くほど異なるのをご存じでしょうか?
その起源や名前の由来、地域ごとの別称や特徴、料理との関連性など、かぼちゃの魅力を多角的に探求し、その奥深さを解き明かしていきます。
まずは、日本で使われるかぼちゃの別称から始め、その後に欧米での呼び方やその起源についても触れていきます。
名前の違いが示すかぼちゃの種類や特性、そしてそれぞれの地域での呼び方とその理由も詳細に紐解いていきましょう。
また、それぞれの名前がどのような料理に繋がっているのか、その深い関連性も見ていきますので、参考にしてみてください。
かぼちゃの別名とその起源
かぼちゃの別名は、少なくとも4つあります。
- 南京(なんきん)
- 唐茄子(とうなす)
- 唐瓜(からうり)
- ぼうぶら
それでは、一つずつ由来を見ていきましょう。
南京(なんきん)
カンボジアから中国の南京を通って入ってきた野菜ということで、南京(なんきん)という説が由来となっています。
唐茄子(とうなす)
中国(当時は「唐」)からやってきた茄子が由来となっています。
ちなみに、西洋かぼちゃの渡来以前に栽培されていたひょうたん型のかぼちゃを指します。
唐瓜(からうり)
現在は中国ですが、当時は「唐」だったため「唐」から渡来した瓜ということが由来となります。
ぼうぶら
ポルトガル語で、かぼちゃを意味する abóbora (アボボラ)に由来しています。
名前ひとつにしても、きちんと由来があってその由来も「なるほど~。」と思えるようなものばかりです。
由来には、どのようにして伝わってきたかやかぼちゃ自体の意味が大きく関係しているんですね~。
かぼちゃの起源
かぼちゃという名前は、カンボジアという国の名前に由来します。
かぼちゃは、ポルトガル人によりカンボジアの産物として日本に伝えられました。
伝わった当初は、「かぼちゃ瓜」と呼ばれていましたが、時間と共に「瓜」が取れて「かぼちゃ」とよばれるようになりました。
詳しくはかぼちゃの語源をご覧ください。
違う呼び方をする地域
かぼちゃには、地方によって多くの呼称があります。
少しご紹介します。
・関東 → 唐茄子(とうなす)
・関西 → ナンキン
・山形県 → ロスン
・宮崎県 → ナンバン、チョウセン
・高知県の一部→ トウガン
かぼちゃは、別名がたくさんあるだけではなく、地方によっても呼び方にも違いがあるなんて本当に面白い野菜ですよね。
日本のかぼちゃは「パンプキン」ではない!
日本で多く食べられているかぼちゃは、実はパンプキンではありません。
すべてのかぼちゃ=パンプキンといったイメージをお持ちの方が多いと思います。私も、実はそう思っていました…。
ですが、パンプキンと呼ばれるかぼちゃは、オレンジの果皮のかぼちゃだけなんです。
米国では、熟したオレンジ色の果皮のペポかぼちゃのことを「パンプキン」と呼んでいます。
英語で、かぼちゃを総称して「スクワッシュ(Squash)」といい、西洋カボチャは「ウインター・スクワッシュ」、日本カボチャは「トロピカル・スクワッシュ」と呼ぶことが多くあります。
日本のスーパーなどに並んでいるかぼちゃは、大半が西洋かぼちゃなので、日本で一般的に食べられているかぼちゃはパンプキンではなく、「ウインター・スクワッシュ」ということになります。
つまり、パンプキンとはかぼちゃの中のごく一部のものを指しているんですね。
かぼちゃの種類
かぼちゃのことについて調べていると、かぼちゃにはたくさんの種類があったので、まとめてみました。
こんな形のかぼちゃがあるんだと思いながら、見てみてください!
それでは、どうぞ〜♪
まずかぼちゃは、主に3種類に大きく分けられます。
・日本かぼちゃ
・西洋かぼちゃ
・ベポかぼちゃ
それぞれの、主な品種や特徴などをまとめてみましたので一緒に見てみましょう!
日本かぼちゃ
1960年代まで日本に数多くある品種の総称です。
日本かぼちゃは、西洋かぼちゃに比べて水分は多いのですが煮崩れしにくいのが特徴です。
また、食感はねっとりとしていてでんぷん質も少なく、甘さも控えめでさっぱりとしています。
さらに、日本かぼちゃの中でもいろいろな品種があるのでご紹介しますね。
黒皮かぼちゃ
希少価値の高い日本かぼちゃの一種で、日本料理の最高級食材として大変人気の高い品種です。
見た目は綺麗な黒皮で果肉が粘質で煮崩れに強く、味はまろやかな甘味ときめ細やかな舌触りが特徴的です。
菊座かぼちゃ(菊南瓜)
菊座かぼちゃは日本かぼちゃの一種で、菊座かぼちゃ(菊南瓜)の最大の特徴は、横に切って上から見ると菊のように見える見た目からその名前がついています。
小菊かぼちゃ
小菊かぼちゃは、直径15cm前後、重さ500~800g程の小ぶりの菊カボチャで、真上から見ると菊花に似ていることから名前が付いたとされています。
肉質は粘質で甘味は少なく淡白ですが、煮崩れしにくく、味がしみこみやすいので古くから日本料理には欠かせないカボチャとして扱われています。
鹿ヶ谷かぼちゃ
鹿ケ谷かぼちゃは、京の伝統野菜で知られ「京のブランド産品」の一つにも認定されています。
鹿ケ谷かぼちゃは、ひょうたんのように真ん中にくびれがある縦長の南瓜で、縦に幾条もの筋があり表面にはコブがびっしりとあります。
果肉は日本かぼちゃらしい粘質で、栗南瓜のような甘さはあまり無く淡白ですが、煮崩れしにくく出汁をしっかりと吸い易いので古くから煮物に用いられてきました。
鶴首(つるくび)かぼちゃ
鶴首かぼちゃは細長く、首の部分が鶴の首に似ていることからそう呼ばれるようになったようです。
鶴首かぼちゃは、下の膨らんだ部分が美味しく、ねっとりとしていてコクがあります。
バターナッツ
バターナッツは南アメリカ大陸が原産とされ、アメリカではポピュラーなカボチャのひとつです。
最近では、日本でも人気が高まってきました。バターナッツも下の膨らんだ部分が美味しく、ねっとりとしていてコクがあります。
島かぼちゃ
島かぼちゃは沖縄で古くから作られてきた在来種のかぼちゃで、沖縄では「ナンクワー」または「チンクァー」と呼ばれています。
果肉は濃いオレンジ色で、比較的水分が多く、甘味は少なくて鶴首(つるくび)かぼちゃとほぼ同じ肉質です。
春日ぼうぶら
春日ぼうぶらは、熊本県春日地区で古くから作られてきた在来種です。
外皮は白く粉をふいたようなくすんだ橙色で、縦に条溝があります。
中の果肉は鮮やかなオレンジ色で特に種がある部分は空洞になっていて、赤みが強めのオレンジ色をしています。
万次郎かぼちゃ
この万次郎かぼちゃは東洋系、西洋系、ぺポカボチャなどの種があるなかにおいて希少な東洋系と西洋系の種間交雑種とされ、非常に繁殖力が強いのが特徴的です。
果肉はオレンジ色で肉質は東洋系に近い粘質ですが、貯蔵性は高いです。
西洋かぼちゃ
店頭などでよくみかけるかぼちゃが、この西洋かぼちゃです。甘みが強く、とてもホクホクとしているのが特徴です。
栄養価の高い野菜としても知られており、日本かぼちゃに比べてなんとB-カロテンが5.5倍多く含まれています。
こちらも、いろいろな品種があるのでご紹介しますね。
黒皮栗かぼちゃ
黒皮栗かぼちゃ(くろかわくりかぼちゃ)は、現在広く一般的に流通しているかぼちゃの代名詞的な品種で、「みやこかぼちゃ」や「えびすかぼちゃ」、「くりゆたか」「九重栗南瓜」などの品種群の総称です。
表皮の色が濃い緑で、薄い緑色のストライプが入るものが多いです。
果肉は粉質で、加熱調理することで甘みが引き出され食べた時に栗のようにホクホクするタイプのかぼちゃです。
坊ちゃんかぼちゃ
坊ちゃんかぼちゃは果重500g前後の手のひらサイズのカボチャです。
未熟果というわけではなく、これで一人前に熟した状態です。
坊ちゃんかぼちゃは形や肉質が一般的な栗カボチャとよく似ていて、粉質でホクホクとした食感で甘味も有り美味しいです。
また、一般的な栗カボチャに比べ栄養価が高く、タンパク質やBカロテン、糖質などは3倍以上も含まれているとされています。
鈴かぼちゃ
鈴かぼちゃは、北海道のきうなすファームが出荷している成熟する前に収穫したかぼちゃの商品名です。
未成熟の果実で、皮が柔らかく、女性でも半分に切るのにそれ程苦労せずに切ることができます。
あくまでも生食向けのかぼちゃなので、煮物や焼き物にすると水っぽく甘味もないので美味しくありません。
ロロンかぼちゃ
ロロンかぼちゃは、タキイ種苗が開発し2009年に販売が開始されたラグビーボール形のユニークな果形をした南瓜の新品種です。
肉質は非常に粉質で、キメが細かく、滑らかな舌触りと上品な甘さが感じられます。加熱することでホクホクしていながら滑らかな食感が楽しめます。
宿儺(すくな)南瓜
宿儺(すくな)かぼちゃは、古くから岐阜県高山市丹生川町周辺で自家用野菜として栽培されてきた飛騨の伝統野菜です。
西洋南瓜の一種ですが、外見がヘチマのように長くすべすべした薄い緑色の珍しい形の南瓜です。
肉質は栗南瓜に似ていて、加熱するとホクホクした食感で甘みがあります。
長南瓜/甘龍
長南瓜はヘチマのような長い形をしたやや大きな南瓜で、西洋南瓜の一種とされています。
品種もいくつかあり、代表的なものには近年飛騨高山の特産で知られる「宿儺かぼちゃ」をはじめ、ナント種苗の「甘龍(かんりゅう) 」や松永種苗の「ごっちゃん長南瓜」などの他、石川県の能登で作られている「弥栄(いやさか)かぼちゃ」などがあります。
肉質は栗かぼちゃに似ていて、加熱するとホクホクした食感で甘みがあります。
雪化粧南瓜
雪化粧は、株式会社サカタのタネが販売している白皮栗南瓜の品種で、貯蔵性が高いことから、通常のかぼちゃが品薄になる頃に北海道産が出荷されます。
果肉は粉質で黄色みもやや薄いですが、加熱するとホクホクになります。
伯爵南瓜
伯爵南瓜(はくしゃくかぼちゃ)は、宮城県の渡辺採種場が「松島交配」ブランドで販売している白皮栗カボチャの品種です。
果肉は一般的な栗かぼちゃほど赤みはなく、黄色い感じです。肉質は強粉質で、加熱すると比較的収穫して間がないものはしっとりした感じで、甘さもそれ程強くはありませんが、長期熟成させたものはホクホクした食感でとても甘くなります。
赤皮栗かぼちゃ
赤皮栗かぼちゃは、皮が朱色をした西洋カボチャの一種で、金沢の伝統野菜「加賀野菜」の一つ、打木赤皮甘栗かぼちゃに代表されています。
金沢で作られている打木赤皮甘栗かぼちゃは、名前の通り甘みが強いのも特徴です。
皮が薄く、剥かずにそのまま調理して食べられるので、皮の綺麗な色をそのまま活かす事ができます。
コリンキー
コリンキーは、山形県の山形セルトップとサカタのタネによって2002年に品種登録された生食できるカボチャの品種です。
皮は柔らかく、包丁も一般的なカボチャと比べるととてもすんなりと切ることができ、皮ごと食べる事が出来ます。
果肉も適度な歯ざわりでカボチャの臭みも少なく、薄切りにすると生のまま味付けしてサラダとして食べることが出来ます。
プッチィーニ
プッチィーニは、サカタのタネから種が販売されている品種です。
よくプッチーニとも表記されています。果皮は黄橙色に縦にオレンジ色の縞が入っています。
肉質は粉質となって独特の甘みがあり、電子レンジで加熱するだけでも食べられるとの事です。
ペポかぼちゃ
ペポかぼちゃは、元々が北米南部の地域で作られていた品種です。日本での栽培は少なかったのですが、最近では金糸瓜などが多く出回るようになりました。
味自体はとても淡泊なので、野菜やお肉と一緒に合わせて頂くことでさらに美味しさがグンと増します。
ペポかぼちゃの種類はこちらです!
金糸瓜(そうめんかぼちゃ)
ほぐれた糸状の果肉の様子から、そうめんかぼちゃ(素麺南瓜)やそうめんうり(素麺瓜)、いとうり(糸瓜)などとも呼ばれています。
金糸瓜は茹でたり蒸すなど加熱することで果肉の繊維がほぐれ、糸状になることで知られています。
通常食べるときもこのようにほぐした麺状にして調理されることが多いのが特徴的です。
ズッキーニ
ズッキーニは、外見がきゅうりと似ているため、きゅうりの一種では?と思いがちですが実はかぼちゃの一種です。
ズッキーニは、イタリア料理やフランス料理に一般的に多く使われている野菜です。特に南仏料理のラタトゥイユ、イタリア料理のカポナータには欠かせない野菜です。
韓国カボチャ
韓国ではかぼちゃを「ホバク」と呼び、未熟なうちに収穫したものも食べます。
表皮の色は黄緑色で、薄く縦縞が見られます。
食べ方や外見からズッキーニと比較されることが多く、大きさも似ています。
中の果肉はズッキーニが白っぽいのに対し、黄色で種も柔らかく食べた時の存在感はほとんどありません。
まとめ
かぼちゃの別名や由来について調べてみたところ、かぼちゃの別名は少なくとも4つあります。
- 南京(なんきん)
- 唐茄子(とうなす)
- 唐瓜(からうり)
- ぼうぶら
他には、かぼちゃの語源や違う呼び方をする理由、かぼちゃの種類などもたくさんご紹介させていただきました!
日本のかぼちゃは、実は「パンプキン」ではないという事実は、調べてみて一番びっくりした事でした。
何気なくスーパーや食卓に並んでいる身近な野菜で、こんなに面白い発見があるんですね~。
調べてみたついでに、今度日本かぼちゃや西洋かぼちゃ、ペポかぼちゃなどいろいろなかぼちゃを食べ比べしてみたいと思います!
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