この間、何気なく道を歩いていて銀杏の木を発見しました。
道端に落ちていた銀杏の葉っぱを手に取り、「懐かしいな~。」と幼い頃によく葉っぱを拾って、クルクルと回しながら、学校から家までの道のりを歩いて帰った記憶が蘇りました。
そしてまた別の日…。
違う道を歩いていてまたまた銀杏の木を発見!その木の下には、ギンナンがゴロゴロたくさん落ちていました。
「そういえば、この前見た銀杏の木にはギンナンが全く落ちていなかったな~。」と、ふと思いました。
とっても気になったので調べてみると、どうやら銀杏も人間と同じようにオスとメスが存在するようなのです!
それで今回は、銀杏の木のオスメスの見分け方や銀杏の不思議についていろいろと調べてみました!
銀杏の木のオスメスの見分け方について
いきなり元も子もない結論で申し訳ないのですが、科学的には銀杏の木のオスメスを見分ける「これ!」といった方法はないそうです…。
日本植物生理学会のホームページの「植物Q&A」で銀杏のオスメスについて質問をされている方がいました。
Q. イチョウの雌雄は何によって決まるのですか?
A. イチョウの雌雄で染色体を形態的に調べられておりますが、少なくとも通常の染色法では差異が認められておりません。
(中略)
また、樹形や、葉の形態(切れ込み)等で、雌雄性が判定できると主張されている人がいることは知っておりますが、いずれも科学的根拠は無いと思います。
長田 敏行(元東大付属小石川植物園長)
引用:日本植物生理学会のHP
というわけで、銀杏が成木になってある程度時間がたたないと、オスメスの見分けはつかないようです。
ただ、色々調べた中で、銀杏のオスメスを見分ける説が出てきましたので、ご紹介します。
銀杏の基本情報
銀杏は学名をGinkgo bilobaという、生きた化石とも呼ばれる樹木です。
この樹は中国原産で、約2億年前の中生代ジュラ紀に登場し、現在に至るまで生存しています。特に秋になると、美しい黄金色に葉が変わるため、観賞用としても人気が高いです。
落葉樹であり、耐寒性がありますが熱にも強く、都市環境でもよく見かけます。街路樹や公園などで使用されることが多い銀杏は、大気汚染に対する抵抗力も持ち、環境改善に寄与する樹木として重宝されています。
銀杏の性別の違い
銀杏は雌雄異株です。これはオスとメスが異なる個体に分かれていることを意味し、それぞれ特有の性質があります。
オスの木は花粉を、メスの木は種子を生産します。種子は俗に「銀杏の実」と呼ばれ、臭いが特徴的ですが、中の胚乳は食用とされています。
一方、オスの木には花粉を作る小さな花が咲きますが、実をつけることはありません。育成や管理の違いにより、雌雄の銀杏を選別し、目的に応じた植樹が行われています。
銀杏の特徴
銀杏は独特の葉を持ち、扇形または心臓形をしていることが特徴です。
葉脈が直線的に走るのが識別ポイントで、他の樹木の葉と容易に区別することができます。秋には一斉に黄色いビロードのような美しい葉を落とし、美しい絨毯を作り出します。
また、成長が遅い樹木であるため、非常に長寿で、数百年を超える個体も珍しくありません。園芸では、銀杏の木は剪定により形を整えることが可能ですが、大きく成長した古木は圧巻の姿を見せてくれます。
銀杏オスの識別方法
葉の形状と特徴
銀杏オスの葉は、全般的にメスの葉に比べて大きさや厚みに差が出ることがあるが、これは環境や個体差による影響もあるため、決定的な識別ポイントにはなりません。
オスの銀杏の葉も扇形で、深く切れ込むものもあります。
葉脈が比較的まっすぐ伸び、葉の縁に沿って並んでいます。オスとメスを葉だけで見分けるのは一般的に困難ですが、他の特徴と合わせて判断することが可能です。
幹と枝の違い
オスの銀杏は、成熟すると幹が太く、堅実な構造をしていることが多いです。
枝ぶりはやや上向きで、枝張りが整然としています。メスの木に比べ、枝が細かく、密集している傾向にあります。春の芽吹きの際には、芽の大きさや枝に花が見られる時期など、細かい差異が観察されます。
花の時期と形態
銀杏オスの花は春に咲く小さな花で、黄色い猫足状の集合体です。
3月から4月にかけて咲き、その後に花粉を飛ばします。これらの花は幹や枝の近くにぶら下がるように生じ、目立たないため見落とされがちですが、この時期の様子を観察することでオスの木であることを識別する手がかりとなります。
銀杏メスの識別方法
果実の出現時期と特徴
メスの銀杏は、果実をつけることが最大の識別ポイントです。
果実は晩夏から秋にかけて熟し始め、直径約2センチメートルの球形で、外皮はしっかりしています。
内部には食用になる胚乳を含んだ種子があり、外皮が割れると強い臭いを放ちます。これらの実を観察することで、簡単にメスの銀杏かどうかを判断することができます。
匂いによる見分け方
銀杏の果実は独特の強い臭いが特徴的で、これを手がかりにメスの銀杏を識別することができます。
特に成熟した実が割れて中の種子が露わになった時、その臭いは一層強烈になります。
ただし、これは実が熟している時期に限られるため、他の時期には適用できない点に注意が必要です。
葉の色の変化とその時期
メスの銀杏の葉も秋には黄色に変わりますが、葉の色の変化が始まる時期や速度に若干の差があるといわれています。
ただし、これも環境条件や個体差によって変わるため、確実な判別方法とは言えません。
それでも、果実の有無や実の成熟度合いとあわせて見ることで、メスの木である可能性が高いと推測することができます。
銀杏の木のオスメスの見分け方にはこんな説も!
科学的には根拠が無いのですが、ちまたで銀杏の木のオスメスの見分け方としてあげられている説をご紹介します。
- メスの木にはギンナンの実がなるが、オスの木にはギンナンの実がならない
- 葉っぱに切れ込みがあるのがオス、切れ込みがないのがメス
- ギンナンの形が二面体になっているのがオス、三面体になっているのがメス
- 枝が地面と水平に広がっているのがメス、垂直に伸びているのがオス
銀杏の木も、人間と同じようにメスの木にだけギンナンという実の赤ちゃんができるんですね。
葉っぱの形でオスメスを見分けることができるという説も、確かに言われてみれば切れ込みのある葉っぱもあれば、無い葉っぱもありますよね。
ギンナンをよ~く見てみると、確かに二面体のものもあれば、三面体になっているものもあります。
三面体の方が芽を出しやすいようになっていると思うと、なんだかこの説にも納得してしまいます。
メスの木の枝が地面と水平になっているのって、もしかしたらギンナンの実を少しでも遠くへ落して、子孫を多く残そうとしているのでしょうか…?
オスは一家の大黒柱のように、堂々と垂直に伸びている感じがするのは、私だけでしょうか。
「これ知ってる!」「聞いたことある!」といったような見分け方がありましたか?
銀杏の性別を見分ける時の注意点
銀杏の性別を識別する際は、細心の注意が必要です。
外見上の差異は微妙であり、成長段階や環境条件によってはさらに見分けが難しくなることがあります。誤認の可能性を減らし、的確な判断を下すためには特定のポイントを把握しておくことが重要です。
誤認の可能性とその原因
銀杏の性別を誤って判断する可能性は、木の若い時期や花が咲いていない時期に特にあります。
若木では性別に関わる特徴が顕著でないこと、また、花が小さく肉眼での識別が難しいためです。時として男女の木で葉の形が若干異なることもありますが、これは個体差によるものであり信頼できる判断基準にはなりません。
花序が現われる春の季節が性別を見分ける上で詳細な観察が可能なタイミングとなりますが、それ以外の時期には特に注意が必要です。
誤ってメスをオスと見間違えると、秋になって不意に大量の臭い銀杏の実を拾うことになるかもしれません。逆にオスをメスと誤認すると、実の収穫を期待することはできません。
相違点を確認する最適な時期
銀杏の性別を確実に識別するには、花が咲く春、特に4月から5月が最良です。
この時期のオスの木には黄色い花粉をまき散らす小さな花穂が現れ、メスの木では緑色の小さな花が見られます。花粉の有無が最も明確な判別点となるため、この時期を逃さないことが重要です。
さらに、雌雄異株の植物である銀杏は、一度性別が確定すれば、その後は同じ状態が続くため、一度確認してしまえば将来にわたってその知識が役立ちます。
しかし、成長の途中で性転換する例外的な事例も報告されているため、定期的な観察が推奨されます。
立地条件が見分け方に及ぼす影響
生育地域や土壌の条件は銀杏の外見に影響を及ぼすことがあります。
都市部や塩害の影響を受けやすい地域では、葉の形状が変化することがあり、性別の見分けに影響を与える可能性があるため注意が必要です。
また、日照や水分の条件も木の成長に影響を及ぼし、それによって花の発達具合が変わることもありますので、周囲の環境因子を考慮しながら見分けることが望ましいです。
銀杏の木は性転換する?
銀杏は、不思議なことに性転換するとも言われています。ビックリですよね~。
各所で銀杏の性転換が目撃されているのですが、その中でも有名なのが、山梨県身延町の上八木沢地区にある、国指定天然記念物のオスの銀杏の木「八木沢のオハツキイチョウ」です。
そのうちのひとつに、実際にギンナンの実がついているのが発見されたそうです!
参考URL:身延町ブログ「身延Life」
性転換しただけでもビックリなのに、植えられてから180年目にして初めて実をつけたなんてさらに驚きです!
180年目にして何が起きたのでしょうか。
そういえば、私も幼少の頃、家までの帰り道で「この銀杏の木、去年まではギンナンなってなかったような…」と思ったことがありました。
もしかしたら、その銀杏の木も性転換していたのかもしれませんね。
本当に、銀杏は神秘的で奥深いです。
性転換する植物
銀杏の他にも、性転換すると言われている植物はあります。
例えば…
- テンナンショウ
- 山椒(サンショウ)
- マムシグサ
テンナンショウ
同じ株なのに、その年によってオスの株になったりメスの株になったりするのが、このテンナンショウです。
テンナンショウは、栄養状態の良い大きな株がメスになり、その逆で小さい株がオスになるそうです。人間もそうですが、女性が妊娠するとどんどんお腹が大きくなっていきますよね。
お腹の赤ちゃんのように、テンナンショウも大きくて真っ赤な種をつけるために、自然の摂理でそうなっているのでしょうか。
山椒(サンショウ)
中華の麻婆豆腐やウナギのかば焼きなどに、山椒(サンショウ)をかけて食べたりすることありますよね。
この山椒(サンショウ)も、極まれに性転換するそうです。
内藤一夫さん著書の、農文協の新特産シリーズ「サンショウ」にもそれが詳しく書かれているようなので、ご興味のある方はぜひ!
マムシグサ
マムシグサも、性転換する植物のひとつです。
最初のうちは、球茎が小さいので、実をつけるための栄養が十分ではありません。そのため、雄花になります。
そこから球茎に十分な栄養がつくと、次の年にはなんと雌花になるんですって!不思議過ぎます…。
雌花で受粉し、たくさん種子を作ろうとすると栄養がたくさん必要になります。どうしても、栄養が無くなってしまいます…。
栄養が無くなってしまうと、また雄花に変化するという、何とも変幻自在な植物です。
性転換する植物って、意外とあるものですね~。
結論:銀杏のオスとメスを見極め、快適な環境を整える方法
銀杏の性別を適切に見極めることは、快適で持続可能な環境を整えるために不可欠です。
オスの木の選定は実を避けたい都市部で好まれ、メスの木は生態系の多様性を支持する場に適しています。
性別の識別には注意が必要であり、最適な時期に観察すること、立地条件を考慮することが重要であると言えます。
また、生活環境におけるオスとメスの比率には配慮が求められます。これらの点を考慮し、オスとメスを正しく選択し活用することにより、銀杏は私たちの環境をより豊かなものにしてくれるでしょう。
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