さっぱりとして美味しい麺料理。夏場は特に、冷たい「そうめん」が楽しみですよね。
ところで、「温かい」そうめんも存在することをご存知でしょうか?
「にゅうめん」と呼ばれるこの料理、どうも地域によっては知らない人も多いようです。
「にゅうめん」って、漢字で書くと?その由来は?などなど、今回は、にゅうめんについて調べてみました!
にゅうめんの漢字は3つある
にゅうめんを漢字で書く場合、3つあります。
- 煮麺
- 入麺
- 乳麺
これらはいずれも当て字です。
「にゅうめん」という読み方は、①「煮麺」(にめん)がなまったものと考えられています。
辞書では、こんな感じで定義されています。
素麺(そうめん)を煮込んだ料理
私自身、「にゅうめん」という名称は知っていましたが、頭の中でどの漢字も思い浮かばず、ひらがなの「にゅうめん」としてインプットされていました笑
ちなみに、「温麺」と書いて「うーめん」と読む料理もありますが、これはにゅうめんとは違います。
後ほど詳しくお話しますね!
にゅうめんの豆知識
ここでは、にゅうめんにまつわる豆知識をいくつかご紹介します。
- にゅうめんの由来
- 日本国内での呼び方の歴史
- 地域ごとの呼び方の違い
- にゅうめんの知名度
- 温麺(うーめん)との違いは?
それでは、1つずつ見ていきましょう。
にゅうめんの由来
にゅうめんの発祥の地は奈良県、時期は非常に古く、室町時代と言われています。
奈良県は手延べそうめん発祥の地としても有名ですが、にゅうめんも奈良の郷土料理と言われています。
一般に、そうめんは冷たくして食べことが多く、熱い夏の涼感メニューというイメージがあります。
ところが奈良方面では、秋ごろから、つまり暑さが和らぐ季節になると、そうめんを温かくして食べる習慣があります。
野菜やシイタケなどの具を入れて、そうめんと出汁を煮立てていただきます。
室町時代、宮中につかえていたある大納言の日記「宣胤卿記(のぶたねきょうき)」に、このような記録が残っています。
宮中で開かれた歌会の後、天皇より入麺(にゅうめん)、酒を賜る。
参考URL:煮麺ー小麦粉・地域の食文化料理
つまり、由来は宮廷料理!当時から、寒い冬のおもてなし料理だったんですね!
ちなみに、温かいそうめんを食べる習慣がある地域では、冷たくして食べるそうめんを「冷やそうめん」と呼ぶところもあるようです。
これは、そうめんの食べ方として冷・温の両方があるため、単に「そうめん」と呼んだのではどちらの料理か区別がつけられないからだそうです。
みなさんのお住いの地域はいかがですか?
日本国内での呼び方の歴史
にゅうめんの呼称は、時代と共に若干の変化を遂げました。
もともとは「温麺」とも呼ばれ、文字通り「温かい麺」という意味合いで使われていたことがあります。
しかし、現在では主に「にゅうめん」の名称で定着しており、特に冬に食べる「冬麺」としてその名を馳せています。
地域ごとの呼び方の違い
日本各地でにゅうめんの呼称にはバリエーションがあります。
例えば、一部地域では単に「温麺」と呼ばれることもありますし、東京地方では「暖麺」という名称で親しまれていることもあります。
これらの地域による呼称の違いは、その地域の気候や食文化、方言による違いから影響を受けています。
にゅうめんの知名度
「にゅうめん」と聞いて、それが「温かくして食べるそうめん」であると分かる人は、全国的にあまり多くはないようです。
例えば…
生まれは関東だけど両親が関西出身で、家でにゅうめんらしきものを食べたことがある。
しかし、お蕎麦屋さんなどのメニューに「にゅうめん」は定番として置いていない。
温かいそうめんは食べたことがあるが、それを「にゅうめん」と呼ぶことは知らなかった。
給食にも出たような…。
温かいそうめんは食べるけど、お汁はだしではなく味噌仕立て。
などなど、色々な意見がありました。
私が住む北海道でも事情は同じです。私自身は、給食で「温そうめん」を食べた記憶があります。
ただ、献立表に「にゅうめん」と書いてあったかどうかは覚えていません。
母にもきいてみましたが、「温かいそうめん」そのものは子どものころから知っているが、それを「にゅうめん」と呼ぶとは知らなかったそうです。
全国的に、「にゅうめん」という名称そっちのけで、料理の方がよく知られている印象ですね。
温麺(うーめん)との違いは?
さて、にゅうめんと混同されることもある「温麺(うーめん)」。確かに、この漢字名を見ると、にゅうめんを思い浮かべるのも無理ないかもしれません。
温麺とは、宮城県白石市の特産品です。その特徴は…
温麺もそうめんの種類の1つであり、そうめんとの違いはそうめんは製造過程で油を使用しますが、温麺は油を使いません。
麺の長さも特徴的で9cm(そうめんは19cm)と短いので調理がしやすく乳幼児や高齢者のメニューに使用されることも多いようです。
そうめん同様冷たくしても温かくしてもどちらでも好まれていますがどちらかと言うと温かい汁、もしくは出汁で煮て食べることが好まれていると言われています。
参考サイト:池利HP
ということで、にゅうめんと温麺(うーめん)との違いは、2つあります。
- 製造過程で油を使用しているかどうか
- 長さ
温麺(うーめん)については、今回の調査で初めて知りました。
しかも、冷たくしても食べられているとは…名前とのギャップがおもしろいですね。
通販でお試しセットも買えるようなので、ぜひ食べてみたいと思います。
にゅうめんの食文化における役割
にゅうめんは日本の伝統的な料理であり、各地域の文化や行事に密接に結びついています。
このシンプルでありながら奥深い料理がどのように日本の生活文化や地域社会に溶け込んでいるかを掘り下げていきます。
日本の家庭料理としての位置づけ
にゅうめんは、そのシンプルさから日本の家庭でよく見られる料理の一つです。
温かくも冷たくも提供できるため、季節を問わずに楽しむことができます。特に、体調を崩した時や寒い季節には温かいにゅうめんが食べられることが多いです。
また、素麺を使った料理としては珍しく、準備が簡単であるため忙しい時にも手軽に調理できる点が家庭料理としての位置づけを強化しています。
さらに、野菜や肉、海産物など、さまざまな具材との相性も良く、栄養バランスの取れた食事としても重宝されています。
地域行事でのにゅうめん
にゅうめんは日本各地で様々な地域行事の際に食べられることがあります。
例えば、新潟県ではお祭りや特別な行事の際に「へぎそば」と共ににゅうめんを提供する習慣があります。
地域によっては、収穫祭や初詣、地域の集まりの際に特別な料理としてにゅうめんを用意することが、コミュニティを形成する重要な要素となっています。
このように、にゅうめんはただの食事以上の意味を持ち、地域の文化や伝統を象徴する料理としても機能しているのです。
にゅうめんと地域の文化
にゅうめんがどのようにして地域の文化に影響を与えているかは、その具材の選び方や食べ方にも表れています。
各地域で採れる新鮮な食材を使って作られることが多いため、地域ごとの特色が出やすい料理です。
また、地域の伝統芸能や祭りの中でにゅうめんを提供することによって、それらの文化行事をより豊かにし、参加者にとっても記憶に残るものにすることができます。
そのため、にゅうめんは地域の文化を反映する鏡のような存在と言えるでしょう。
にゅうめんを通じた文化交流の事例
にゅうめんは、地方都市の祭りやイベントで特色として紹介されることもあり、他地域や外国からの訪問者に向けて日本の食文化の一端を示す役割を果たしています。
このような場では、にゅうめん作りのワークショップを開催して地元の人々と訪問者との交流の場としている事例もあります。
また、国際交流のイベントで地元食材を使ったにゅうめんを提供し、その地域ならではの食文化を紹介することで、異文化理解の促進に寄与しています。
にゅうめんが具体する日本のおもてなしの心
にゅうめんは、その温かいスープと柔らかな麺が疲れた体を癒すため、おもてなしの食べ物としても非常に適しています。
来客時や家族への気遣いとして作られることが多いです。
また、具材を変えることで季節感を表現したり、食べる人の好みや体調を考慮したりすることができるため、心を込めた料理としても評価されています。
これは、相手を思いやる日本の「おもてなしの心」を色濃く反映していると言えるでしょう。
まとめ
今回は、「にゅうめん」について調べてみました。
- にゅうめんの漢字は「煮麺」「入麺」「乳麺」など。いずれも当て字。
- そうめんを具とだし汁と合わせて煮た、温かい麺料理のこと。
- 発祥は奈良県。室町時代の宮廷料理として生まれ、郷土料理となった。
- 「にゅうめん」という名称の知名度はあまり高くない模様。
名前は知らなかったけど食べたことがある、とか、名前も料理も知っているけど味付けが異なる、など調べていておもしろかったです(^_^)
にゅうめんと呼ばれる「温そうめん」、ラーメンともソバとも違う独特のアッサリ感がおいしくて私は好きな料理です。
ベトナムのフォーに近い印象ですが、フォーって実は現地では朝食として出されるんですよね。
味噌汁にそうめんを入れて食べる地域でも、もしかすると朝食としていただいているのかもしれません。
そのくらいさっぱりしたお味と食感なので、まだの方はぜひ作って食べてみて下さい!
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